機関投資家が認めた実力、「賢者の設計」とは
長らく「貯蓄から投資へ」と叫ばれてきた日本の金融業界。しかし、ベイビュー・アセット・マネジメント株式会社の代表取締役社長 兼 CEO 八木健氏は、その現状に警鐘を鳴らします。「残念ながら、まったくなっていません」と断言し、20年間変わらない日本人の家計資産構成、そして期待リターンの明示がない新NISAの問題点を指摘しました。

その閉塞感を打破すべく、ベイビュー・アセット・マネジメント株式会社が打ち出す新たな一手。それは、新商品「グローバルサプライチェーンファンド(愛称:賢者の設計)」の発表と、金融業界の構造そのものに変革をもたらす壮大なビジョンでした。
ベイビュー・アセット・マネジメント株式会社は、1997年に設立された独立系の運用会社で、銀行や証券会社などの系列に属さない独立性を強みとしています。顧客である機関投資家の投資利益を第一に考える戦略を採用し、運用と販売の分離を徹底。運用会社が直接金融商品を販売する「直販」方式を特徴としています。設立以来27年間で運用資産残高1兆円を超えるまでに成長し、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や企業年金連合会といった、日本を代表する機関投資家からも運用委託を受けるなど、高い評価を得ています 。
今回の発表会で明かされた「グローバルサプライチェーンファンド(愛称:賢者の設計)」は、今注目を集めるオルタナティブ投資に分類され、株式や債券といった伝統的な資産とは異なる投資対象に着目しています。具体的には、サプライチェーンの一部を担うアジア圏の中小企業の貿易取引における「売掛債権」を活用した仕組みです。
輸出企業が輸入企業に商品を納品したあと、代金が支払われるまでのタイムラグに着目し、ファンドが輸出企業に代金を前払いすることで資金繰りを支援します。ファンドのリターンは、この前払い時に差し引かれる「利息相当分」となるのです。
驚くべきはその実績です。個人投資家向けとしては新規設定されたばかりですが、プロ向けには6年前から提供されており、年率4.2%(為替ヘッジあり)、米ドルベースでは6.5%以上という安定した収益を積み重ねています。為替の恩恵もあり、ヘッジなしのクラスでは6年間で資産が倍以上になったケースも。
さらに、グローバル債券、株式、ヘッジファンドといった他の資産との相関性が低いことも特徴のひとつ。分散投資の効果が期待できるため、ポートフォリオのリスク低減にも貢献する可能性があります。
この実績が評価され、「グローバルサプライチェーンファンド」はブルームバーグやニューズウィーク誌のベストヘッジファンド賞「ベストパフォーマー賞」を2年連続で受賞しています。これは、プロの投資家からも高い支持を得ている証といえるでしょう。
ベイビュー・アセット・マネジメントが描く金融業界の変革
発表会では、単に新しい投資商品をローンチするだけでなく、日本の金融業界そのものを変革したいという強い意志を表明しました。そのキーワードとなるのが「直販」です。
日本の運用業界は銀行や証券会社の系列子会社が主流であり、販売会社主導の構造が、本当に投資家が必要とする商品が提供されない原因の一つであると指摘します。投資信託の回転売買といった弊害も、この構造に根ざしているといわざるを得ません。
八木社長は、この状況を打破するために、「運用会社が直接販売する」という直販モデルこそが、顧客本位の金融を実現する唯一の道だと主張します。商品を最もよく知るメーカーである運用会社が、直接顧客と繋がり、ニーズに応じた商品を提供することこそが、本来あるべき姿だと訴えかけました。
ベイビュー・アセット・マネジメント株式会社は、その先駆けとして、オンラインでの直販体制を構築。「千里の道も一歩から」という言葉を引用し、小さな一歩かもしれないが、日本の金融業界にとっては大きな変革の第一歩となるとの決意を示しました。
さらに、新NISA制度の問題点にも言及。現状の「一人一口座」制度では、販売会社だけが有利になり、大手による寡占化が進むと警鐘を鳴らします。海外で普及しているマルチアカウント制の導入こそ、個人投資家にとってより自由な選択肢を提供するために必要だと主張しました。
ベイビュー・アセット・マネジメント株式会社は、第一弾の「グローバルサプライチェーンファンド」を皮切りに、今後は機関投資家から評価されているような、より高いリターンを目指せる商品の提供も視野に入れています。創業以来27年間、シリコンバレーのヘッジファンドとの深い繋がりを持ち、実績のあるイノベーションファンドの提供も計画しているといいます。