厚生労働省「国民生活基礎調査(令和元年)」によると、全世帯のうち約2.4%の世帯が「親への仕送りをおこなっている」そうです。そんな「親への仕送り」について、苦労をかけた母親への恩返しとして「月20万円」の高額な仕送りを続ける青山さん(仮名・55歳)の事例を紹介します。母を想う気持ちが招いた“まさかの悲劇”をみていきましょう。※プライバシー保護のため登場人物の情報を一部変更しています。

冗談だろ…〈年金月10万円〉と〈仕送り月20万円〉で暮らす78歳母から「お金が足りない」と催促が。怪しんだ55歳息子が“こっそり”帰省→実家で目にした“まさかの光景”【CFPが警告】
月20万円も送っているのになぜ?…母が訴えた「仕送り催促」
青山紀彦さん(仮名・55歳)は、都内の大手商社で管理職として働いています。
紀彦さんは妻と2人の子どもとの4人暮らし。年収は1,800万円超と高収入ながら、子どもたちが通う私立校の学費や住宅ローンの負担もあり、家計にはそれなりの重圧を感じていました。
そんな紀彦さんには、遠方の地方都市で1人暮らしをしている母・香代さん(仮名・78歳)がいます。香代さんは現在、月10万円の年金と紀彦さんからの仕送り20万円で生活しています。
香代さんは若いころ、夫が立ち上げた金属加工の町工場を手伝っていましたが、経営難で早々に廃業。夫とともに多額の借金を背負いましたが、そんな状況でも香代さんは弱音を吐かず、パートをかけ持ちしながら家計を支えました。
そんな母の背中を見て育った紀彦さんは「母の生活を少しでも楽にしてあげたい」との思いで、数年前から毎月20万円を仕送りしています。
香代さんは当初、仕送りを受け取ることを頑なに拒んでいました。しかし、息子からの「老後くらいお金の心配をせずに暮らしてほしい」と度重なる説得もあり、厚意に感謝して受け取ることに。
これにより、香代さんは年金と仕送りを合わせて月30万円ほどの収入となりました。さらに、父の遺産や貯金を含めて3,000万円の資産があります。かつての質素な暮らしぶりを思えば、十分すぎる額です。
ところが最近、そんな香代さんに変化が見られるようになりました。定期的に連絡を取り合うなかで、あるとき香代さんが次のように言うのです。
「今月、ちょっと足りなかったの。もう少しお願いできないかしら……?」
はじめは突発的な支出かと思い、言われるがまま追加で振り込んだ紀彦さん。しかし、同じような要望が何ヵ月も続くうち、違和感を覚えるようになりました。
(おかしい……母さんが散財するわけない。いったいなにが起きているんだ?)
青山さんは真相を確かめるため、母には告げずにこっそり実家へ向かうことにしました。