(※写真はイメージです/PIXTA)

一人暮らしが難しくなった親が老人ホームに入居することは、多くの子にとって大きな安心をもたらすでしょう。しかし、入居できれば安心、というわけにはいかないようです。入居後に予期せぬ出費が重なり、やがて親世代だけでなく、その生活を支える子世代にとっても、自身の老後資金に影響を与えかねないという厳しい現実に直面するケースは少なくありません。本記事では、村山義男さん(仮名)の事例とともに親子の老後資金を守るための選択肢について、合同会社エミタメの代表を務めるFPの三原由紀氏が解説します。※相談事例は本人の許諾を得てプライバシーのため一部脚色しています。

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母を亡くし、父自ら決めた老人ホームへの入居

東京都内にある有料老人ホームに入居した村山義男さん(仮名/78歳)は、つい最近まで“自立した高齢者”として一人暮らしをしていました。

 

しかし妻に先立たれ、家事や炊事など日常生活の負担を抱えるなかで、ひとり娘の直子さん(仮名/52歳)と相談し、地元の民間有料老人ホームに入居することを決断しました。直子さんは派遣から正社員に登用されたばかりの独身女性。両親の支えで女子大まで進学したことにいまも感謝の気持ちを抱いています。

 

義男さんはもともと地方公務員として安定した職に就いていましたが、40代後半に職場の人間関係でメンタルを崩し、転職を考えていた折に、妻の父が急逝。急きょ、義父が営んでいたクリーニング店を継ぐため、50歳で退職。以後は妻とともに70歳になるまで働き続けました。

 

公務員を早期退職し個人事業主となったため、厚生年金の加入期間が短くなってしまいました。そのため、現在の年金受給額は月14万円。妻の遺族年金は受給要件を満たさず、単身での年金生活となりました。

 

妻が健在だったころの生活は、決して裕福ではなかったものの心豊かなものでした。「お父さん、今年の旅行はどこに行く?」夫婦で毎年のように、北海道や九州といった名所を巡るツアーに参加し、旅先での食事や温泉、季節の景色を楽しみにしていました。

 

ところが、ある年の北海道旅行でのこと。カニを目いっぱい食べた翌日、妻が腹痛を訴えました。「カニ、食べ過ぎたかしらねえ〜。あんなに無言で夢中になって食べてたんだから」そういって笑い飛ばしていた妻でしたが、帰宅後も体調は回復せず、少しずつ痩せていく姿に義男さんも不安を覚え、ようやく病院を受診しました。

 

診断は大腸がんの末期──すでに手術も難しい状態でした。最期の入院の前、妻は静かに直子さんの手を取り「お父さんのこと、頼むね」といい残しました。

 

そのあと、妻の不在に慣れることができない義男さんの生活は、日を追うごとに不安定に。料理も洗濯さえも億劫になり、体力も衰え始めたことで、「俺もそろそろ施設を考える時期かな……」と、初めて自ら施設入居の意思を口にしました。

 

入居先に選んだのは、自宅からも近く、土地勘のある地域の有料老人ホーム。入居時には一時金210万円(前払い家賃)を支払い、月額20万円での生活がスタートしました。

 

妻の医療費などもあり、手元の貯金は300万円ほど。入居当初は介護認定の必要もなく、“自立状態”での入居。サービスも充実しており、安定した第二の生活が始まったかに思えました。

 

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