ああ、あの人が羨ましい、自分も何かしなければ…SNSに溢れる煌びやかな投稿、煽る焦燥感。終わりなき「無慈悲なレース」に翻弄される現代人の悲哀

ああ、あの人が羨ましい、自分も何かしなければ…SNSに溢れる煌びやかな投稿、煽る焦燥感。終わりなき「無慈悲なレース」に翻弄される現代人の悲哀
(※画像はイメージです/PIXTA)

テクノロジーの進化によって私たち生活は劇的に変化しました。しかし、SNSの普及などにより、他者よりも上に立ちたいといった「マウント欲求」が加速し、私たちを疲弊させる原因にもなっています。本記事では、実業家、経営コンサルタントである勝木健太氏の著書『「マウント消費」の経済学』(小学館)より一部を抜粋・再編集して、人々が知らぬ間に翻弄されている「マウント欲求」の実態について解説します。

知らぬ間に「他者との見えない競争」に巻き込まれる現代

テクノロジーの進化は、私たちの生活に劇的な変化をもたらした。インターネットの登場、SNSの普及、そしてAIの発展──これらの技術革新が次々と現れるたびに、生活の利便性は飛躍的に向上し、情報は瞬時に手に入り、世界はこれまで以上に密接につなるようになった。

 

しかし、どれほど技術が発展しても、人間の根源的な欲求は驚くほど変わらない。「マウント欲求」もその中の一つである。

 

そしてこの欲求は、テクノロジーによって増幅されたということだけにとどまらない。むしろ、テクノロジーがその形をより一層複雑化させ、私たちをその渦から抜け出せなくしている。

 

技術の進化こそが、この「マウントの罠」を生み出し、私たちを搦捕(からめと)る最大の元凶となっていると言っても過言ではないだろう。

 

かつて、自分と他人を対比する機会はごく限られていた。職場の同僚や近所の友人、親戚との何気ない会話の中で、「あの人が新車を買ったらしい」「家をリフォームしたそうだ」といった噂話を耳にし、「自分も負けていられない」と奮起することはあっただろう。

 

しかし、その対象は多くの場合、身近なコミュニティの範囲内に収まっていた。ところが、現在ではSNSを開くだけで、世界中の誰とでも容易に自分を比べられるようになった。

 

タイムラインに溢れる他人の投稿はどれもきらびやかで、魅力的に映る。「こんな素敵な場所に旅行してきました」「こんな美味しい料理を楽しみました」「こんな特別な人と過ごしています」──こういった投稿を目にするたびに、私たちは言葉にしがたい焦燥感に駆られずにはいられなくなる。

 

この状況が生まれた最大の要因は、テクノロジーが「他者との比較」を極限まで容易にしたことにある。かつては遠い存在でしかなかったセレブやインフルエンサーたちの華やかな生活が、SNSを通じてまるで隣人のように身近なものとなった。

 

彼ら/彼女らが披露する豪華なライフスタイルや特別な体験を目にするたびに、「羨ましい」と思うだけでは済まず、「自分も何かしなければ」という強烈な焦燥感に駆られる。

 

その結果、私たちは知らず知らずのうちに「見えない競争」へと巻き込まれ、「他者よりも上に立ちたい」「優れていると思われたい」「見下されたくない」という欲求に支配されるようになっていくのだ。

 

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※本連載は勝木健太氏の著書『「マウント消費」の経済学』(小学館)より一部を抜粋・再編集したものです。

「マウント消費」の経済学

「マウント消費」の経済学

勝木 健太

小学館

消費トレンドはモノ・コトからマウントへ 「こんな素敵な場所に旅行してきました」 「こんな美味しい料理を楽しみました」 「こんな特別な人と過ごしています」 SNSで頻繁に目にするこうした投稿。その背後には、多く…

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