検索
高額療養費制度、2025年8月の負担上限額の引き上げは見送りへ
厚生労働省は70歳以上の方の高額療養費の上限額について、見直しを行っています。その理由については「高齢者と若者の間での世代間公平が図られるよう」（※3）としています。
政府の案は当初、2025年8月～2027年夏までの間に３段階の引き上げを行うというものでした。しかし、世論では反対の声が目立ち「治療が継続できなくなる」「家計負担が増大し生活が維持できなくなる」といった指摘が多く挙がっています。これを受けた石破総理大臣は、2025年3月7日の夜にがんや難病の患者団体と面会し、その後の会談後「2025年8月からスタートする予定の負担上限額引き上げの見送り」を表明しました。秋までに改めて方針を検討するとのことで、引き続き注視しなければなりません。
（※3 出所：高額療養費制度について｜厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html）
高額療養費制度の問題点
高額療養費制度自体は「さまざまな治療を受けても、自己負担の限度額が決まっている」という安心感があり、疾病外傷を抱える患者さんにとって、とても助かる制度だと思います。私自身、患者になったときのことを考えると大変心強く、日本の医療保険制度のなかでもとても良い制度の一つなのではないかと思います。一方で、いくつか問題点があるのもまた事実です。
無論、どんなによいと思われる制度でも欠点を抱えているため「欠点があるから、高額療養費制度を廃止したほうがいい」ということを主張したい訳ではありませんので、その点についてはご理解ください。また、在宅医療を提供するうえでの特有の問題は、押しなべてありません。ここでは、在宅医療と関わりの深いポイントについて指摘したいと思います。
患者さんは自己負担金が限度額に達するまで、さまざまな医療機関等で自己負担が生じます。たとえば、クリニックへの支払い、薬局への支払い、訪問看護ステーションへの支払いなどです。月が終わったときにこれらの支払いをすべて合算し、限度額を超過した分が高額療養費となります。このとき、患者さんへ高額療養費が支給されるのは、診療した月から早くても約3～4ヵ月後になります。
あらかじめその月に支払う医療費が自己負担の限度額を超過することが見込まれる方は、「限度額適用認定証」というものを事前に取得している場合もあります。その際は、窓口での支払いが、自己負担限度額までおさえられます。
非常に心強い制度である一方、当法人の訪問診療や訪問看護の回数を制限してほしい、あるいは介入を断りたいと希望された患者さんのなかには、高額療養費制度のことを詳しく知らず、お金のことを心配してしまっていたという方もいました。
患者さんに適切な医療サービスを受けていただくためにも、まず私たち医療人が制度を理解し、お伝えできるよう準備しておきましょう。
野末 睦
医師
医療法人 あい友会 理事長
注目のセミナー情報
【海外不動産】6月28日（土）開催
大和ハウス工業事業参画！英国ロンドン分譲マンション
ロンドン中心部まで約2km圏内《Zone1》
「THE WILDERLY LONDON（ザ ワイルダリー ロンドン）」の全貌
【国内不動産】7月5日（土）開催
金価格が上昇を続ける今がチャンス！
「地金型コイン」で始める至極のゴールド投資
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか？」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは？」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
